六字様

ろくじさま

指定種別 種別細別 指定名称 所在地域(旧町村)  所在地区 

市指定

無形民俗

六字様

緒川 小舟

 緒川地域小舟の前屋集落と大貝集落が共同で行っている、疫病退散を祈願する行事。地元では「ロクッチャマ」と呼ばれ、かつては盆明けの7月18日、現在は8月18日に近い土曜か日曜に行われています。

 同名の行事は、市内の緒川地域と美和地域の北西部に集中して分布しており、市外では、隣接する栃木県那珂川町大那地にあるのみです。

 「六字様」とは六字の名号(みょうごう)「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」のこと。この文字自体が、ありがたい阿弥陀如来そのものと考えられています。浄土への往生を願う阿弥陀信仰と疫病退散の祈願がどのような理由で結びついて、当地域のみに見られる六字様という名の行事が成立したのかは不明ですが、関係する石塔などが建立された年号から、江戸時代の中頃から後期までには始まっていたと考えられます。

 当日の朝、小舟地区の前屋と大貝(大貝地区は、旧緒川村小舟分と旧美和村高部分に分かれています)の祭礼の当番は、集落センターに集まって六字様の花飾りと、各戸に配布する造花をあしらったお札を作ります。花飾りは四方に「南無阿弥陀仏」と書いた四角い灯篭をつけた竹棒の上部から、10本余りの割竹を長く垂らして深い傘状にし、切り紙で作り端部を赤く染めた桜花と、「難病除」「六字様」「南無阿弥陀仏」などと書いた御札を紙縒りで割竹に結び付けて飾ります。枝垂れた花飾りの上には、宝珠をつけた纏(まとい)を挿して完成です。ほかに、集落の戸数分、花とお札を紙縒りで通したものを用意します。纏には金紙を切り抜いた不思議な模様がついていますが、他地区の資料から、阿弥陀如来を示す梵字 キリークが変化したものと思われます。この纏部分を、特に「ボンデン」と呼んでいます。

 その後、当番は村回りに先立ち、「お神酒上げ」と称して、紙縒りで通した造花と御札を篠に付けたものと、酒、ボンデンのみを持って、山すそにある名号塔に参り、篠を立て酒を供えて拝礼します。村回りは、ロクッチャマの花飾りを軽トラックに積んで行ない、各家を訪問して賽銭と引き換えに花とお札を配り、集落内の字境や石仏のある場所などに、花と御札をつけた篠を立てます。各家では、母屋の入口周辺に花と御札を下げておき、疫病が家内に侵入するのを防ぐのだと伝えています。

 集落の山深い場所に「ロクッチャマの石」と呼ばれる石塔があり、昔はその石にもお神酒上げをしたそうですが、最近は行っていません。石塔は、寛政5年(1793)銘の「百同念仏供養塔」です。

 村回りが終わったら、花飾りを集落センターの庭に立てておきます。暗くなると、花飾りの灯篭に火が灯され、夕涼みがてら地域住民が拝礼に訪れます。参拝者はお神酒を酌み交わし、子どもたちは花火を楽しんで、地域の行事を続けています。