小田野の火伏せ

おだののひぶせ

 美和地域小田野の宿(しゅく)で行なわれてきた、集落を火災から守るための行事です。火伏せの呪物として、東北地方に顕著な「男根」を用いる、当地では珍しい行事でしたが、現在は行なわれていません。

 小田野宿は、国道293号線の花立トンネルを北に抜けてすぐの十字路を東に向かってあたりです。乾燥して火災の増える冬季は、集落内の番小屋に当番が詰めて、毎晩3回火災予防のための見回りを行なってきました。昭和50年代に番小屋は廃止されましたが、平成20年まで、毎年12月1日から2カ月間、集落内の決まった場所に、小田野の鎮守 吉田八幡神社から受けてきた御札を納め、男根(かつてはミズノキ製、最近はスギノキで作る)を据えて、桟俵(さんだわら)で作った纏(まとい)と、稲藁で作った火ばたきを立てて、火伏せの神として祀っていました。

 期間が過ぎると、これらの呪物は近くの小川に掛かる橋の下に廃棄します。

 平成21年に再現してもらった行事を映像記録「常陸大宮市のまつりと行事」に収録しており、(財)地域創造の「地域文化資産ポータル」でご覧いただくことができます。