蒼泉寺

そうせんじ

 南嶽山達磨院蒼泉寺、御前山地域長倉にある曹洞宗の寺院で、佐竹氏の支族 長倉氏の居城であった長倉城跡の一郭にあります。

 応永元年(1394)、長倉遠江守(ながくら とおとうみのかみ)が先祖 良東庵主の菩提を弔うため、この地に善慶寺(ぜんけいじ)を建立しましたが、13世 意覚の時の文禄4年(1595)、長倉城主 義興の柿岡(石岡市)移封に伴って善慶寺も柿岡に遷りました。善慶寺には、長倉氏に伝来したとされる雪村筆「釈迦羅漢図」3幅が所蔵されています。

 翌 慶長元年(1596)、この善慶寺の跡に、相模国小田原の海蔵寺開山 安叟宗楞和尚を勧請開山として、聖観世音菩薩を本尊とし創立されたのが蒼泉寺です。曹洞宗の再興に尽力した高僧 連山禅師は、16才の時この蒼泉寺で得度し仏門に入っています。

 万治元年(1658)、文化3年(1806)と2度の火災によって堂宇と貴重な記録類を失い、現在の本堂は文化8年(1811)に再建されたものを、平成2年に改修したものです。山門に掲げられている「南嶽山」の扁額は明(みん)の帰化僧 心越禅師(しんえつぜんじ)の書。本堂内の花鳥や山水を描いた板戸、及び、同じく花鳥を描いた格天井(ごうてんじょう)、欄間の彫刻の3件は、市の文化財に指定されています。

(参考/御前山村郷土誌編纂委員会『御前山村郷土誌』平成2年)